『ことばの歳時記』に思うこと

新緑

ご入居者様 ご家族様

机の上に一冊の本が、いつ頃からか置いてあります。
話に聞くと・・・“12月23日宮内庁より公開された上皇上皇后両陛下のご近況のなかで、
著者 山本健吉『ことばの歳時記』をおふたりが交互に音読なさっているとのこと”
そう、僕の机の上に『ことばの歳時記』が、いつの間にか置かれてありました。
“音読なさっている”ということを情報として知らせたかったということ・・・と。
きっと“健吉”にひっかけたのだろう・・・とも推測できました。

『ことばの歳時記』とは、「春一番」「新緑」「踊り」「時雨」など、春夏秋冬と新年を彩る季節のことばの数々を、名句や名歌の引用とともに、親しみやすい文体で紹介された本とのこと。
著者の山本健吉(1907年~1988年)古典から現代文学まで幅広い評論活動で知られる文芸評論家

せっかくの“名著”、机の上だけではもったいないと思い、本を手に取ってみます。
もともと、日本の四季に興味があり、子どもの名前にも“春夏秋冬”の一文字を入れたくらいです。
これからの時期で、僕の誕生月にも重なる“夏”の頁から読んでいます。
最初のことばが「新緑」です
冒頭の一文を紹介させていただきます。

初夏の季節を色で代表させたら、緑である。緑といっても、深緑になると、真夏の季節にふさわしい。
炎天のもと、親鸞万象すべてにわたって、むんむんといきれるような息苦しいい感じである。
だが、初夏の「新緑」は、ずっとすがすがしい。もっと薄色の季節でもある。
「美しき五月」という言葉があり、サツキという古語も美しい語感がある。膚にやわらかい、快い大気の感触があり、一年中で一番気分のよい季節であろう。青葉、若葉の季節で「若緑」という言葉もあるが、これはとくに松の新芽の緑について言っている。「浅緑」というのは、春の柳の新葉、または春霞のこめた空の色に、昔は言っている。高山帯、亜高山帯のカラマツ、エゾマツ、トドマツ、ブナなどが、いっせいに芽吹いたころの、淡緑、新緑入りまじった美しさは、目もさめるばかりである。「新樹」というのも、初夏の新緑の立木をいう美しい新鮮な感じの季語だが、この言葉は江戸時代から使っている。

角川ソフィア文庫『ことばの歳時記』山本健吉 著 より

この文面を読みながら、ミソノピアの庭園の木々や、一葉の光景を思い描きます。
季節感だけではなく、庭園を散策しながら、“思ったこと、考えたこと”などを思い返します。

先月、ご入居者様から教わって、枯れたあじさいの花を剪定しました。
その後から、あじさいのことが気になっていると・・・。
ご入居者様から、「かわいい花が咲いている」と、声を掛けられ「あっ、ごめんなさい、雑草かなぁ」と即答。
その後、会話は「“雑草と言う草はない”と。昭和天皇が植物学者の言葉を引用されて言われた言葉」というような話題となりました。
机に戻り、再度昭和天皇のお言葉を調べてみると

「世の中に雑草という名の草はない。どんな植物でもみな名前があって、それぞれ自分の好きな場所で生を営んでいる。人間の一方的な考え方で、これを雑草として決めつけてしまうのはいけない」

鳥取市立修立小学校Webサイト/校長室から/
2021.05.27「雑草という名の草はない」より

ことばの歳時記

“あじさい”の前に、気がつかないといけない“花”があることがわかりました。